新素材「多孔性配位高分子PCP/MOF」を開発する株式会社Atomisが12億円のシリーズB調達を実施
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新素材「多孔性配位高分子PCP/MOF」を開発する株式会社Atomisが12億円のシリーズB調達を実施
株式会社Atomisは、スパークス・グループ株式会社が運営する「未来創生2号ファンド」をリードインベスターとして、合計6社より総額12億円の第三者割当増資による資金調達を実施しました。
さらに、事業会社4社とは戦略的な業務提携に向けた取り組みに着手するとのこと。
【シリーズB 資金調達引受先】
・未来創生2号ファンド
・株式会社クボタ
・Mitsui Kinzoku-SBI Material Innovation Fund
・長瀬産業株式会社
・株式会社MOL PLUS
・京銀輝く未来応援ファンド2号
【業務提携】
・三井金属鉱業株式会社:PCP/MOF素材の量産化、新用途開発
・株式会社クボタ:水・環境分野におけるPCP/MOFの利活用
・長瀬産業株式会社:PCP/MOF素材の拡販、環境分野におけるPCP/MOFの利活用
・商船三井グループ:船舶向け水素サプライチェーン構築におけるPCP/MOFの利活用
✏️プレスリリースのご案内📰
金属有機構造体を設計・製造する京都大学発のスタートアップ企業・株式会社 Atomis との資本業務提携を通じて、金属有機構造体(MOF)の開発を推進してまいります。
▼詳しくはこちら。https://t.co/kKCsOU9O1s
— 長瀬産業株式会社 (@nagasegroup) December 6, 2021
株式会社Atomisとは? 新素材「多孔性配位高分子PCP/MOF」について
株式会社Atomisは、新素材「多孔性配位高分子PCP/MOF」を開発する京都大学発スタートアップ。代表者は京都大学工学部卒の浅利大介氏です。
企業自体は2015年に京都大学高等研究院iCeMSの樋口雅一氏が設立し、2017年にAtomisとなり浅利大介氏が代表となりました。
PLUG AND PLAY KYOTO「Kyoto BATCH 1 EXPO」(2021年)では国内ベンチャーの中で最高評価を受賞。
また、同じく2020年に関西の有望スタートアップ を選定する「J-Startup KANSAI」企業の1社として選定されました。国内外からの評価も高く、また期待も大きい注目のスタートアップです。
新素材「多孔性配位高分子PCP/MOF」について
株式会社Atomisでは、多孔性配位高分子PCP/MOFを基盤とした事業を行っています。
多孔性配位高分子PCP/MOFは、金属と有機化合物が秩序だった三次元構造を形成し、ナノレベルに制御された多孔性を有する物質の総称です。
この多孔性配位高分子(PCP/MOF)技術は、固体や液体とは異なり、高度に制御することが極めて困難であった気体を自在に制御することを可能にしました。
現在開発中の次世代高圧ガス容器「CubiTanⓇ」
現在開発中のサービスとしては、立方体で軽量かつコンパクトな高圧ガス容器の「CubiTanⓇ」があるとのこと。
これに、GPSや温度センサー、圧力センサーを付加して、どこの容器があとどのくらいでガスが切れるかといったことをIoTで把握する計画とのこと。2020年末にはCubiTanⓇの小規模実証実験を開始する予定とのことです。
多孔性配位高分子PCP/MOFの将来性
多孔性配位高分子はナノサイズの細孔を持ったスポンジのような構造をもつ金属イオンと有機配位子からなるハイブリッド素材です。
多孔性配位高分子の細孔を用い、吸着のみならず分離、輸送、整列、合成、触媒、光励起、電子伝導性など応用分野は幅広く、産業に大きなインパクトを与えることが期待されています。
例えば、工場などで排出される二酸化炭素を回収、貯留できれば、環境問題を大きく解決できるでしょうし、水素ガスを容易に貯留、運搬できれば、水素エネルギーが大きく普及することに繋がっていくことなどが考えられるそうです。
出典:J-Startup KANSAI公式サイト、京都府公式サイト
今回の資金調達の用途
今回の資金調達の用途として、下記のように発表されています。
Atomisでは、本資金を活用し、多孔性配位高分子PCP/MOFの開発及び量産に向けた新たな研究開発拠点の建設と共に、環境領域(CO2分離変換)、エネルギー領域(次世代高圧ガス容器CubiTanⓇ)の開発を加速させ、今後も「気体を自在に操る技術」で持続可能な社会の実現に貢献して参ります。
高度な技術を持ち、さまざまな方面からも期待されているスタートアップですので、きっとこれからも新素材を生かしたサービスや製品を送り出してくれるのではないでしょうか。とても楽しみですね!
また、株式会社Atomisのキーマンは瀧本哲史先生だった、とのこと。瀧本哲史先生先生の後押しで浅利大介氏が代表になったそうです。
私も瀧本哲史先生が好きなので、それだけでも株式会社Atomisさんを応援したい気持ちになりました。(もちろん技術的にも素晴らしいものをお持ちなので、そちらも注目しています!)
今後の展開もこちらで随時お知らせしていきたいと思います!